
メニュー紹介9。しようがなす。ここから量産体制できたような。
揚げ物ばっかりですね。
トンカツに唐揚げに。揚げ物ばっかりじゃん。じゃ、いけないなと思って、茄子使おうかなっていうことで最初に思い出したのは、福岡天神にある味の正福の茄子味噌。でも味噌炒めが、味の配分に焼き工程になかなかめんどくさいかなと思って、あと揚げ物と味噌炒めならまだ、味濃ゆいかなと思って。揚げ出しナスをもうちょい揚げないあっさりした感じにっていうところがきっかけでしたね。このメニュー開発。

うちの父親の弟辰己おじさんはナス嫌い。
あたしはきゅうりが嫌いです。だからポテトサラダにきゅうりは入ってないです。ピクルスはOKなんで、入ってます。でも、うちの母親とかが勝手にこそっと入れてたりします。でも分かるんです。トマトスライス切る前にきゅうり切ったよねっていうのが当てられるくらい。店の主人が嫌いな食べ物を出すってなんかお客さんに失礼じゃないかなって思うんですけど、いないときが多いのに主人ヅラしてんじゃないよ。ってのもあるんで、黙認しています。
話がそれました。前述の辰己おじさんはナスが嫌いなんです。橋口家は、宮之城の農家ですんで、もう死んじゃいましたけど、その婆さんはそれはそれは食べ物を大事にしなさいというところに関しては、鬼のような人でして。それでも許されていたのが辰己のナスと洋和のきゅうりでした。
で、あたしは茄子好きなんで、なんでこの人毛嫌いするんだろうと思っておりました。
だから、このメニュー「しようがなす」なんです。しょうがないから食べてやろうといつか言わせるために。あとですね、しようがナスビなんです、略さないと。その時の頭と最後を取ると、「しび」なんです。
そう、紫美山のシビです。

味を似せないメニューつくり。
トンタッタでにんにく使います。酢豚は黒酢。だから、しようがなすはしょうが。揚げ出し茄子を揚げずにつくるみたいなイメージで。考えました。このとき考えたのは、酢豚ににんにく入れるとトンタッタと同じ味かな?っていうのを思っていたので、にんにくと黒酢は使わないで作らないとということで。
しようがなすを考えていましたね。
肉も豚かな?鶏かな?っていうところで。始まりまして、やっぱり豚味噌もあるし。豚になっていき。これもまた、豚のかしらに変わって味もだいぶしっかり伝わるようになりました。
で野菜は、玉ねぎキャベツピーマン辺りが合わせて炒められます。そして茄子。味は醤油と酒と出汁と。って感じで合わせてゆきます。繊細な味付け。結構難しい感じです。
仕上げに生姜を。そしてここでしらネギに油ばりの生姜を香らせる秘密のフィニッシュが。それはたまには企業秘密にしておきます。
まあ生姜香る香りを飛ばす系の技です。

鹿児島の味といえば砂糖とみりんと。
結構甘いですよね。あたしも鹿児島出身だったんで、この土地を離れて気づきました。だって初めて福岡で刺身醤油食べたときに、からって思いましたからね。すごいことだ。もう35年経ちます。味覚も変わりまして、やっぱり甘いなって最近は思いますけど、合わせるところは合わせて、合わせないところは合わせない。感じでつくっておりますうちのメニューは。それでいうと、このしようがなすに、味醂も砂糖も使わないのは、結構なチャレンジング。そしてうちのお酒は、日本酒です。恵比寿酒店から仕入れる日本酒を使っています。贅沢な!だから本当にこのメニューは甘い感じはなく、それは生姜を生姜らしく引き立てようという心意気です。
名峰紫尾山の麓である北薩出水の地で、しようがなす。お時間あるときに是非お楽しみください。